腕のない不動明王
1995年の1月、あの大震災は起こった。
寒い時期で、震災にあわれた方々は何重もの苦難に見舞われたことだろう・・・
日々のニュースで刻々と伝えられる状況が少し落ち着いたころ、紹介で来られた患者さん。
ボランティアのため被災地を回っておられた仏師さん、男性。
長時間のバイク乗車の体勢と冷えのためか、腰痛を起こして来院。
そして何度目かの治療時のこと。
鍼灸の治療が終わっても、ある反応が消えない。
実はこの患者さんが部屋に入って来られた時、不動明王が一緒だったのだ。
そのようなことはたまにあることで、一通りの治療が済むと反応が消えるのだが、この日はいつまでも私の喉の調子がおかしい。
「先生(仏師さん)今日はお不動さん一緒に来てるのですが・・えらい怒ってますけど・・・」と言ってみた。
すると「へ~そうですか?あいつ怒ってますか?怒るような奴とちゃいますけどな・・・」とニコニコ笑っている。
もっと詳細にそのお不動さんをみてみると、その不動明王には右腕が見当たらない。
地震が起きた時、右手に持たしていた剣だか金剛棒だかが折れて腕を支えるものが無くなったので、右腕を肩のところから外しているらしい。
「時間がとれずにまだ修理が出来てませんが、怒っとるんやったら出来るだけはように直しますわ」と帰って行かれた。
「おかしいな~怒るような奴ちゃうねんけどな~」と何度も首をかしげながら・・・
その後来院されることはなかったが、しばらくして新聞のニュースにボランティア活動が取り上げられ、お元気そうなお顔を拝見することが出来た。
勿論、怒った不動明王の反応は・・・ない。
# by yorozu-yorozu | 2008-10-07 02:58




